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  • 2024.3.15
  • グルメ

昭和にタイムスリップ!? レトロな雑色商店街でのんびり食べ歩き

長く人気が続いている、昭和レトロ。ほっとさせる雰囲気がありつつ、今だと逆に新鮮な感じもするのが昭和レトロの魅力です。そんなレトロ感が存分に味わえる場所といえば、昔ながらの商店街は外せません!

大田区最大規模の商店街である雑色(ぞうしき)商店街には、人情味あふれる商店街特有のレトロな雰囲気が色濃く残っています。たくさんの専門店が立ち並び、1日中、多くの人で賑わいます。

今回はそんな雑色商店街で食べ歩きをしてみることに。少しずつ暖かくなってきた気候のもと、商店街を街ぶらし個性豊かな4店舗を巡ります!

雑色商店街で60年間営業! サービス精神溢れる精肉店
「丸美食品」

雑色商店街は、京急線「雑色」駅を出て右手に真っ直ぐ広がっています。雑色商店街の特徴のひとつは、チェーン店と個人店が入り交じっているところ。新旧がクロスする独特の雰囲気、香り、目に入ってくるたくさんのお店に「何かお気に入りが見つかるかしら」とワクワクした気持ちでいっぱいになりました。

そんな雑色商店街でまず立ち寄ったのが、雑色駅を出て少し歩くと右手にある精肉店「丸美食品」。商店街に根っこを張っていることがわかるレトロな佇まいが目を引き、スルーするわけにはいきませんでした。

店先には、1パック110円の「若鳥揚げ」などリーズナブルなお惣菜が並んでいました。あれもこれも手に取りたくなるきつね色の揚げ物に、空腹時はとくに心が掴まれます。

店内に入ると、店主の大庭(おおば)さんが優しい笑顔で迎えてくれました。

商店街の人に気軽に立ち寄ってほしい、お財布を傷めずに家族みんなの分のお惣菜を買って帰ってほしいとのお心遣いから、この価格で販売しているとのこと。店頭には揚げ物や精肉だけではなく「パスタサラダ」「ポテトサラダ」などのお惣菜も並んでいて、ここに来ればほしいおかずが全部揃う安心感があります。

時間があるなら、揚げたてを注文するのがおすすめ! カウンター越しに好きなものを伝えると、大庭さんがその場で揚げてくれますよ。

この日は人気の「コロッケ」「ハムカツ」「メンチカツ」各60円 を揚げてもらい、近くの公園でいただきました。

食欲をそそるゴツゴツした形に細かい衣は、想像するだけですでに美味しい……。

「コロッケ」はほくほくした食感のおいもと自然な味付けで、無限に食べられそうです。

「ハムカツ」は、薄くてピンク色のハムがどこか懐かしい感じ。おやつ感覚でぺろりとつまめる誰もが好きな味だと感じました。

「メンチカツ」は、粗挽きのお肉がジューシーで、ファンが多いことに納得の美味しさ。

およそ60年もの間雑色商店街で営業を続ける「丸美食品」は、「揚げたてに勝るものなし!」と思えるほど、時代が移っても変わらない揚げ物の魅力に気づけるお店です。

丸美食品:

所在地:東京都大田区仲六郷2-15-11
アクセス:京急線「雑色」駅から徒歩約1分
TEL:03-3731-7686
https://tabelog.com/tokyo/A1315/A131503/13181713/

出来たてを提供するお餅とごはんのお店
「伊勢屋餅菓子店」

さらに商店街の中を進んでいくと、カウンターから優しそうなお母さんが顔をのぞかせているお店を発見。何屋さんとも確認せず吸い込まれるように立ち寄っていました。

「伊勢屋餅菓子店」は、餅菓子とごはんのお店。

私が何を買おうかと迷っている間にも、小さい子からご年配の方まで訪れて思い思いの商品を買って帰る姿がありました。みなさんすぐに注文するものを伝えられるのがすごいと思ってしまうくらい、どのお菓子も気になります。

この日は季節もののお菓子として「桜餅」が並んでいました。これから先のシーズンには「柏餅」や「水羊羹」など季節にあわせたお菓子が並ぶそうです。

お菓子屋さんは、いつの時代も私たちに季節の訪れを告げたり、お祝いごとの気分を盛り上げたりしてくれますよね。

商品がぎっしり並んでいるわけではないのには理由があります。それは、まんべんなく少しずつ作って、売り切れたら作り足すという方法をとっているから。

そうすることで、お客さんがいつ来ても出来たてに近いあたたかい商品を提供できているようです。

人気は「焼きだんご」90円 と「いなり」90円 とのこと。10本ほど出来上がった焼きだんごもみるみるうちに売れて行くので、タイミングを逃すまいと注文。餅菓子好きの私としては外せない「おはぎ ごま」150円 も購入し、いただきました。

あたたかい状態のおだんごを久しぶりに食べましたが、タレの香りやもちもちの食感が口の中でどんどん増していって美味しい!! 焼きだんごのタレが自然光に反射してきらめく様は、食べ歩きだからこそ楽しめる特別な光景です。

おはぎは、黒ごまの風味が際立つシンプルな美味しさ。いなりは、甘じょっぱいおあげにお米がギュッと詰まった、一度食べると忘れられない味でした。

昭和27年から雑色商店街に店舗を構える「伊勢屋餅菓子店」は、あんこやお赤飯もお店で作っているできたての美味しさに出会えるお店です。

伊勢屋餅菓子店:

所在地:東京都大田区仲六郷2-27-3
アクセス:京急線「雑色」駅から徒歩約2分
TEL:03-3731-3476
https://tabelog.com/tokyo/A1315/A131503/13145088/

盛り盛りの焼き鳥と煙の香りが人々を惹きつける
「竹沢商店」

続いて立ち寄ったのは、「竹沢商店」です。盛り盛りに積み上がった焼き鳥と、通りに漂う焼き鳥の香りの煙がキャッチーすぎる!

注文が入り次第女性スタッフが軽く火を通してある焼き鳥をしっかり焼いて仕上げていく様子、電卓を使わずにパパッと合計金額を計算して現金でお会計を済ませる様子……お祭りのようなワクワク感と気軽さが両立する、これぞ私が求めていたレトロな商店街!

常連らしき男性のお客さんと目が合いお話を聞いてみると、わざわざ電車に乗って「竹沢商店」の焼き鳥を買いに来るのだとか。

「竹沢商店」は60年ほど前に始まったお店で、もとはもつ焼きの専門店。そのため、現在でも「もつ煮込み」のファンが多くいます。

小学校の給食でも出会ったことがないような大きな鍋に入った「もつ煮込み」を毎日仕込むそう。味付けでごまかすのではなく、しっかりともつの美味しさを感じられる「もつ煮込み」です。

店主の星野さんによると、鮮度の良い「レバー」もおすすめとのことでいただきました。

また、週末には希少部位の焼き鳥も店頭に並ぶことがあるのだとか!グルメさんはそんなタイミングを狙って訪れるのもいいかもしれません。

焼き鳥は、お肉ひとつひとつが大きくカットしてあって嬉しい! 串の端を持つときは指にグッと力を入れないとフラっとしてしまうほど贅沢なボリュームです。

個人的に気になった「豚バラ」250円 は、脂がカリッと焼けていてとても美味しかったです。「レバー」150円 は味が濃いのに臭みはなく「良質なものを食べている」という感覚を存分に味わえます。

「ハツ」150円 もいただきましたが、味・歯ごたえのバランスがよくもっとも食べやすく満足感を得られるメニューだと感じました。

「ねぎま」ならぬ「とりねぎ」150円 は、ネギが1個のみ刺さった、あくまで鶏肉をメインとして楽しめる焼き鳥。どの串も塩とタレが選べますが、塩のとりねぎは塩加減が絶妙でエンドレスに口に運びたくなるような魅力がありました。

竹沢商店は、美味しそうな焼き鳥の見た目と香り、訪れる人々が作る賑わいで、雑色商店街でひときわ存在感を放つお店です。

竹沢商店:

所在地:東京都大田区仲六郷2-19-9
アクセス:京急線「雑色」駅から徒歩約3分
TEL:03-3736-5618
https://twitter.com/takezawa1129

八重山そばと江戸前寿司を立ち食いできる新しいスタイル
「スタンド鮨サカバ917(クイナ)」

次に立ち寄ったのは、立ち食い寿司のお店「スタンド鮨サカバ917(クイナ)」です。これまで外で食べ歩きを満喫してきましたが、最後は店内で落ち着いていただきます。天候が悪くても立ち食い店であれば商店街の雰囲気を楽しめますね。

店先の看板からのウェルカムな雰囲気が伝わってきて、扉を開けてみたくなりました。

オープンからもう少しで1周年を迎える「スタンド鮨サカバ917」は、常連さんから一見さん、若い方から年配の方まで幅広く立ち寄り人間関係の輪が広がるような場所になってきたとお店の方は言います。

沖縄県石垣島の郷土料理である八重山そばとお寿司を提供する「スタンド鮨サカバ917」。
どうしてこの組み合わせができたのか聞いてみたところ、一般的にお酒を飲んだ〆としてラーメンを食べることがあること、大将の慶田盛(けだもり)さんが沖縄県出身とのことから、八重山そばを提供することになったとのことでした。

目の前でお魚を捌いてくれたり、燻製した藁焼きのサワラには提供時にお醤油をササッと塗ってくれたりと、ライブ感に大興奮! 作り手の顔が見えること、出来立てを提供していただけることも商店街グルメのよさだと思います。

赤酢を使用した江戸前寿司に使われるのは、大将が毎朝市場に出向き仕入れる新鮮なお魚です。シャリはハーフサイズで注文することもでき、商店街での食べ歩きにぴったり。

ちぢれのないストレート麵、かまぼこと豚肉のトッピングが特徴の八重山そば。スープは粗目に削った鰹節、昆布、豚骨2種類がベースのものが主流ですが、スタンド鮨サカバ917ではタイのアラからも出汁を取ってお寿司屋さんのエッセンスを注入したものがいただけます。

さまざまな出汁の旨味が詰まりつつあっさりしたスープは〆にはもってこいです。沖縄っぽさのある調味料で味変すると、さらに現地の雰囲気を感じられます。

「スタンド鮨サカバ917」は、八重山そばとお寿司という伝統的な料理を新しい解釈で提供する、雑色商店街らしいお店です。

スタンド鮨サカバ917(クイナ):
所在地:東京都大田区仲六郷2-21-9
アクセス:京急線「雑色」駅から徒歩約5分
https://www.instagram.com/stand_sushisakaba/

雑色商店街での食べ歩きをして思ったのが、胃袋がひとつでは足りない!ということ。それほど、出来立ての食べ物の美味しさはもちろん、お店の佇まいやお店の方々が魅力的で立ち寄ってみたくなるお店がたくさんありました。

それぞれの季節や時間帯で必ず「食べてみたい!」と思えるものに出会える、バリエーションに富んだ専門店と人情味。足を踏み入れるときっと虜になりますよ。

本記事のライター:岩井なな

プロフィール:
大学時代にオーストラリア、アメリカ、フランス、タイへの一人旅を経験。新しいもの、歴史を感じるものに関わらず、美しい建築に目がない。そのため、休日にはオシャレホテル宿泊、美術館や図書館巡りをして過ごしている。
現在は、東京都と富山県の2拠点生活を送る取材・インタビューライターとして、旅メディア・地域情報メディアを中心に活動。可愛いキャラクターが大好きで、大田区公式PRキャラクター「はねぴょん」がお気に入り。