「御朱印人口」という言葉が出てくるほど、長く続く御朱印ブーム。お寺に立ち寄ったら御朱印をいただいて帰るのが、多くの人が持つイメージでしょう。
私も御朱印集めをしてみたくなり、大田区にある池上本門寺に行ってみようと調べていたところ、お寺巡りのスタンプラリーがあることを発見! 全部で24箇所のポイントがありますが、1日ですべては回りきれないので、今回は数カ所回ってみることにしました。
池上駅から出発し、まずはスタンプラリーの冊子をゲットするところからスタート!
と、意気込んだのはいいものの、池上本門寺の前で待ち受けていたのは96段ある此経難持坂(しきょうなんじざか)の試練……。
池上本門寺は、日蓮聖人が開いた日蓮宗の大本山です。
日蓮聖人が入山したとして知られる山梨県の身延山にある 久遠寺(くおんじ)を訪れたときにも、こんな厳しい坂があったなと思い出しながら歩みを進めました。
気温が10度を下回る寒い日でしたが、階段を上り切ると身体がポカポカに。自然と心もホクホクしてきて、お寺を巡る活力が湧いてくるようです!
階段を上がった先で後ろを振り返ると、高い場所まできたことを実感。本門寺通りがまっすぐに続き、美しくて穏やかな街の様子に思わず見とれてしまいました。
池上本門寺の総合案内所で聞いてみると、窓口の方がスタンプラリーの冊子を出してきてくれました。「スタンプラリーのスポットになっているお寺なら、どこでもこの冊子を置いていると思うので、声をかければいただけるかも」と教えてくださいました。
冊子の地図を眺めながら、お散歩がてら巡れそうな6箇所をピックアップ。
コースの提案もあるので、池上を初めて訪れる方は、それを参考にしてみることをおすすめします。好きな順番で巡ってもいいので、気になるお店の近くからスタンプを集めるなどの楽しみ方もありそうです。
スタンプを探しながら寺内を歩いていると、普段とは違う動線や視点でお寺を巡る楽しさに気づきました。
「こんなところにも立派な装飾が施されている」「大堂の中は写真撮影禁止のようだ」「屋根がある場所が多いから雨の日でも大丈夫そう」など、さまざまな発見を重ねる時間から、普段の生活では味わえない新しい豊かさを感じられます。
池上本門寺では、大堂の中でスタンプを発見! お経と大きな太鼓の音を背に、独特の雰囲気を感じながらスタンプを押しました。
冊子とスタンプが設置されている台にはそれぞれのお寺の縁起の解説や住職からのメッセージが添えられていて、少しずつ知識を深めながら巡れるところも没入できるポイントです。
所在地:東京都大田区池上1-1-1
池上本門寺の奥を抜けて、つづいては大坊坂(だいぼうざか)を下っていきます。
階段を下りる途中に目に飛び込んできたのは、鮮やかな赤色が印象的な池上本門寺の宝塔。その迫力ある佇まいに、思わず足を止めてしまうほど。
2つ目のスタンプを押しに訪れたのは、大坊本行寺(だいぼうほんぎょうじ)です。「おおたの名木選」にも選ばれた、立派なクロマツが迎えてくれました。
こちらでは、本堂に向かって左手にある御臨終の間にスタンプが設置されていました。
池上家の家紋である雁金(かりがね)のスタンプをゲット!
錘石や電灯など、寺内の至る所に雁金紋が隠れているので、探してみるのも楽しいです。
所在地:東京都大田区池上2-10-5
続いて訪れたのは南之院(みなみのいん)です。閑静な住宅街にひっそりとたたずんでいて、心地よい静寂に包まれていました。
こちらでは、赤い三つ矢のスタンプをゲット。ここまでくると、スタンプがいくつかたまって見応えのある冊子になってきた感じがして嬉しい!!
所在地:東京都大田区池上2-11-15
ゆっくりと、けれども坂を上がったり下ったりしながら進んできたので、少し休憩を挟むことに。本門寺前通りを進み、目指したのは久寿餅(くずもち)のお店です。
池上には、久寿餅の名店が3店舗あります。そのひとつ、「藤乃屋」に立ち寄りました。立派なお店構えに、専門店特有の風格を感じます。
「池上にある久寿餅のお店は、それぞれ特徴が異なります。うちの久寿餅は、味も食感もしっかりしているほうだと思います」と話してくださったのは、2018年にお店を継ぎ「藤乃屋」として再スタートさせた先代の姪、藤城さんです。
久寿餅はもちろん、黒蜜やきなこも自家製。賞味期限は購入翌日までと短めですが、毎日手作りで届けられる新鮮な美味しさが「藤乃屋」の魅力です。
池上本門寺への参拝の途中や帰りに立ち寄る人も多く、イートインは1人500円と良心的な価格で提供しています。
艶やかな久寿餅に、たっぷりとかけられた黒蜜ときなこが眼福! 黒蜜ときなこがあわさりとろりとした状態になったものを、できる限り久寿餅に絡めて食べたくなります。
久寿餅の弾力と黒蜜きなこの甘みが、疲れた身体に元気を注ぎ込むよう……!とても美味しくいただきました。
久寿餅は、食べる人数に応じた量でテイクアウトも可能。池上に根付く文化と味を求めて、ご近所さんから都外の方まで幅広く訪れるそうです。
一皿にぜいたくな量が乗ったサービス精神あふれる「藤乃屋」の久寿餅を堪能した後は、スタンプラリーの続きへ。がんばるぞ!
所在地:東京都大田区池上4-25-7
アクセス:東急池上線「池上」駅から徒歩約10分
TEL:03-6875-7088
お寺巡りスタンプラリーの後半で最初に立ち寄ったのは、本門寺通り沿いにある本妙院(ほんみょういん)です。
民家のような落ち着いたたたずまいが親しみやすいお寺。こちらでは、牡丹の花の紋のスタンプをゲットできました。
所在地:東京都大田区池上1-33-5
続いては、理境院(りきょういん)。春になると美しく植物が色づくことが冬でも想像できるほど、丁寧に手入れされたお庭が印象的です。
こちらでは、この日5つ目となるスタンプをゲット。
所在地:東京都大田区池上1-34-3
最後に立ち寄ったのは、覚源院(かくげんいん)です。
敷地内にあったベンチに座って、きれいにお手入れされた植物や、鉢に浮かぶ花々を眺める優雅な時間をすごしました。
睡蓮のスタンプを押して、この日のスタンプラリーは終了。
所在地:東京都大田区池上2-11-5
スタンプラリーを通じてお寺を巡るなかで、池上の地について少しだけ知識が深まり、愛着を覚えました。同じ「お寺」でも、そのたたずまいや雰囲気、取り組みが違っていて、それによって私たちが受ける印象も異なります。
少しずつスタンプが埋まっていくのも楽しくてワクワクします。また機会をみつけてお寺を巡り、スタンプ全部集めたいです!
池上駅方面に戻りつつ、お寺巡りの疲れを癒す食事を求めて、商店街のひとつにある「Blue+(ブルータス)」に入りました!
外観のハワイアンなイメージを裏切らない、陽気なムードが漂う店内。
こちらでは、ランチやディナーの営業に加えて、地元のマジシャンを招いたイベントなども開催されていて、池上を訪れる人も池上に住んでいる人も気軽に利用できます。
店長の石上さんおすすめの「ハワイアンバーガー」(1,848円) は、2種類のひき肉を使った食べ応え抜群のパティに、野菜や自家製ソース、焼きパインをトッピングした、食欲をそそる一品。まずはそのまま味わい、後半はハチミツをかけて味変して楽しむと、甘じょっぱさがたまりません!
さらに、大田区ではここだけで提供されているというフルーティーでバランスの取れた味わいのコナビールをあわせれば、よりハワイアンな気分に浸れます。
ぷるんとしたスフレタイプの「マカダミアナッツパンケーキ」(1,320円) は、フォークだけでカットできるほどの柔らかさ。マカダミアナッツクリームと生クリームがたっぷりかかっていますが、甘すぎず、飽きることなく最後まで美味しく食べられます。
毎月入れ替わる期間限定メニューもラインナップされ、チェーン店とは一味違うボリューム感と新感覚の味わいが楽しめるため、何度も通いたくなるお店です。
ハンバーガーはブルーチーズやアボガドなどトッピングの追加もできるので、お気に入りの食べ方を模索してみるのもいいですね。
所在地:東京都大田区池上7-2-10
アクセス:東急池上線「池上」駅から徒歩約3分
TEL:080-4320-0131
https://www.instagram.com/bluetus_ikegami/
池上でのお寺巡りスタンプラリーを通じて、この地について理解を深め、グルメを満喫し、小さな旅を存分に楽しむことができました。
池上には七福神めぐりができるスタンプラリーもあるので、一緒に進めてみるのもありですね。
・詳しくは「池上七福神めぐり」の記事もご覧ください
大田区には「馬込・池上・洗足池」を総称した「馬池洗(まいせん)」と呼ばれるエリアがあります。今回スタンプラリーで訪れた池上のお寺はもちろん、紅葉や桜の名所でもある洗足池公園、カフェ巡りも楽しい馬込など、観光で訪れたいスポットがたくさんあります。ぜひ馬池洗巡りも楽しんでみてください。
本記事のライター:岩井なな
プロフィール:
大学時代にオーストラリア、アメリカ、フランス、タイへの一人旅を経験。ローカルとシティ、どちらで遊ぶのも好きで得意。そのため、休日には全国のおしゃれホテル巡りをし、宿泊やアフタヌーンティーを楽しむ。
現在は、東京都と富山県の2拠点生活を送るインタビュアー・取材ライターとして、ビジネスメディアや観光メディアを中心にWEBと紙面で活動中。可愛いキャラクターが大好きで、大田区公式PRキャラクター「はねぴょん」がお気に入り。