大田区に住んで2年。「穴守稲荷」はなんとなく耳にしたことがあるけれど、ちゃんとお参りしたことはありません。京急空港線の駅名として知っていても、実際に行ったことがないという人も、結構いるんじゃないでしょうか。
そんな穴守稲荷神社、毎年11月3日の文化の日に例大祭をやっているらしいです。どうやらお汁粉接遇や物産店もあるみたい……! 「おいしいスイーツを食べたい」という食欲にひっぱられ、はじめて穴守稲荷神社に行ってみることにしました。
穴守稲荷神社の最寄りはその名の通り、京急空港線「穴守稲荷」駅。改札を出て30歩くらい歩けば、さっそく鳥居がお出迎えしてくれます。駅前からもう穴守稲荷神社はスタートしてるってわけか……まるでテーマパークみたいだ!
下町情緒のある駅前通りを抜けると、かすかにお囃子の音が聞こえます。コロナ禍だったからか、私が社会人になってしまったからか、お囃子の賑やかな音がやけに懐かしく感じました。音の方角を辿ると……
あった!
穴守稲荷駅から穴守稲荷神社までは徒歩3分。あっという間に到着です。
稲荷神社といえば、きつねが神様のお使いである神社。穴守稲荷神社も例に漏れず、たくさんのきつねが鎮座しています。
穴守稲荷神社に来たなら正面にある拝殿はもちろん、そのとなりの「千本鳥居」や「稲荷山(いなりやま)」にも立ち寄ってみましょう。大きな稲荷神社ならではの、「きつねパワー」に圧倒されますよ。
たとえば、千本鳥居はこんな感じ。
ぐわーっと奥まで続く鳥居は圧巻!一歩一歩進むたびに、不思議と背筋が伸びていくような気分になります。
また、脇道の足元も注目です。
ちっちゃい! ねずみが通れるくらいの背たけの鳥居がずらっと奥まで続いていました。小さな動物たちはこの参道を通ってお参りするんだろうか。
千本鳥居を奥まで進むと、「奥之宮」がありました。ここ、天井が高い吹き抜けのようになっていて、ちょっとした洞窟のようです。
社の左右にはきつねの像と鳥居がびっしりと並び、フルーツがお供えされていました。神様、バナナとか食べるんだ。
ふと、お賽銭箱の方に目をやると……
油揚げだ!
きつねの好物ってことなのだろうけれど、本物の油揚げがまるまる一枚お供えされている光景ははじめて見ました。年に一度の例大祭だし、特別に好物を置いているのかもしれません。
奥之宮のさらに奥には、御神穴と呼ばれる場所がありました。
うおお……きつねの石像、きつねのお面、そしてたくさんの鳥居の圧がすごい。稲荷神社って、独特の雑多な雰囲気があって好きです。整然とした空間の神社仏閣とは全く違う、「数」で圧倒してくる末恐ろしさを感じるんですよね。
せっかくここまで来たのなら、「砂」を持ち帰りましょう!
こちらは商売繁盛・千客万来などにご利益のあるという「御神砂」。スコップですくって、袋に入れて持ち帰ることができます。
御神穴を出れば、となりにそびえるのが稲荷山。
「山」と言っても手すりつきの階段なので、安心して登れる親切設計です。
階段を登り切れば……
上から穴守稲荷神社全体を見渡すことができます!
千本鳥居は全国に数あれど、上からこんなふうに見渡せる場所って、なかなかないんじゃないでしょうか。珍しい光景が楽しめて、ちょっと得した気分です。
さて、すっかり穴守稲荷神社の独特な雰囲気に魅了されていましたが、今日は一年に一度しかない例大祭です!例大祭ならではの催しを見ていきましょう。
まずはやっぱりお汁粉接遇!
稲荷山を登頂した身体にやさしい甘みが沁み渡る〜! お汁粉接遇はコロナ禍以降、今年がはじめての再開だそうです。神社で食べるあったかいものって、なんでこんなに心温まるんでしょうね。
あったかいものといえばもうひとつ。
七輪で大きな油揚げも焼かれていました!
ご厚意でひと皿いただきました。う〜ん、やっぱり甘いものとしょっぱいもののコンボは最強だ……!
また、お汁粉や油揚げの向かい側にあるテントでは、「羽田物産店」が開かれていました。ご当地店舗の商品がここならではの価格で買えるチャンスです! 海苔やパン、和菓子やプリンなどが販売されていました。
ご当地感とかわいさに惹かれて私が買ったのは「磯崎家(いそざきや)」さんの「穴守の鈴」(300円)!
鈴のかたちのコロコロした最中がかわいい!ひとくちサイズで食べやすく、甘ったるくない上品なスイーツでした。
穴守稲荷神社の見どころはまだまだあります。「行ってみようかな」と思ってくれたあなたに、ぜひ立ち寄ってみてもらいたい4つの珍スポットをご紹介します。
先ほど紹介した千本鳥居の脇にある末社です。「勝負事にご利益があるんだろうな」と思いますよね。実は、それで終わりじゃないんです。
神社の方が、声をかけてくださいました。
「これ、なんの必勝稲荷だと思います? 社の下にヒントがあります。」
う、馬の蹄鉄(ていてつ)がある……!
中央には小さな馬の像もあります。なんとこれは、競馬の必勝稲荷。ヒントをもらわなければ絶対にわからなかったな……!
これだけは言わせてください。映えスポット!!!
中が鏡になっていて、正面に立つと綺麗に千本鳥居の奥行きを感じることができます。
これ、実はここまで紹介してきた「ある場所」に設置されています。どこにあるかは、ぜひご自身の目でお確かめください!
稲荷山の頂上にあるこの石は、「軾石」で「ひざつきいし」と読みます。遠目に見たら「軽石」に見えてしまいましたが、少し触ってみたところ違いました。全然軽くありません。
この石の参拝方法は、その名の通り石にひざをつけること。神社の石に意図的にひざを乗っけるなんて初めてやりました。正しい参拝方法なのに、ちょっと背徳感……!
社務所の近くの井戸のほとりにも、小さな鳥居がありました。
よーく見ると……
え!!!ちっちゃいきつねが手を合わせてるじゃないですか!!!かわいすぎる……。
帰り際にたまたま目に留まったのがこの鳥居でよかった。穴守稲荷神社は、最後の最後までほっこりさせてくれる神社です。
例大祭は年に一度ですが、穴守稲荷神社は特別な日でなくても十分に楽しめる場所ばかり!例大祭以外のお祭りや行事も定期的に開催されているので、ぜひ覗いてみてください。
今日はたくさんのきつねに圧倒され、癒される一日になりました。でも、まだまだ見落としているきつねがいるかもしれない……。またきつねに会いにいきたいなぁ。帰ってすぐにそう思わせてくれるのは、穴守稲荷神社の不思議な引力かもしれませんね。
所在地:東京都大田区羽田五丁目2番7号
アクセス:京浜急行空港線「穴守稲荷」駅から徒歩3分
TEL:03-3741-0809
https://anamori.jp/
本記事のライター:安光 あずみ
プロフィール:
大田区在住のフリーライター。広告代理店で営業やディレクターを経験したのち、ライターとして独立。「ぼっちのazumiさん」名義でnoteも更新中。ひとり旅や街道歩き、神社巡りが好き。大田区のお気に入りスポットは「大森ふるさとの浜辺公園」。大田区に引っ越してから幾度となく通い続けている。