昔から甘いもの好きな私ですが、スイーツも今は多様化の時代だなあと感じています。特定のジャンルに絞って勝負する専門店が増え、あっちではこのスイーツ、こっちではあのスイーツと、さまざまな楽しみ方ができるからです。
ところで、大田区の田園調布に知られざる(いや、知られてるかも?)スイーツ天国があるのをご存じでしょうか。場所は六間通り(ろっけんどおり)沿い! たまたま発見したのですが、この通りにはスイーツ店がたくさんあって、専門店といえる店も点在しているようなのです。これは……、行ってみるしかありませんね!
東急東横線・東急目黒線の「田園調布」駅に到着。駅前には旧駅舎やパン屋さん、カフェなどがありオシャレな雰囲気。駅前の六間通りをくだって歩き出しました。
細い歩道ですが、想像以上に人通りがあり、営業しているお店も多くて賑わっている様子。マップで見ていたとおり、道を進んで行くといくつもスイーツ屋さんを発見!まるでスイーツ天国!!
チェーン店がほとんどなく、初めて知るお店ばかりで、目に見えてきたお店が何の専門店か予想しながら歩く時間にワクワクしました。
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駅から10分ほど歩くと、きれいな建物の1階に「米粉シュークリームはづき」を発見しました。米粉のシフォンケーキやロールケーキは食べたことがありますが、米粉のシュークリームは未経験!ということで入ってみることに。
店長の小林さんの笑顔と清潔感のある明るい店内が好印象なお店。なにより、ショーケースに並ぶシュークリームがどれも個性的なフレーバーでとても美味しそう! どんな味なのかが見た目からすぐに伝わってくる華やかなトッピングにときめきが止まりません。
「米粉シュークリームはづき」は、立ち上げメンバーである押田さんのお子さんがアレルギー体質だったことがきっかけで誕生したお店だそうです。当時はグルテンフリーのスイーツはあまり世の中になく、あったとしてもテンションの上がる見た目や美味しさではなかったと言います。
「アレルギーがあっても、誕生日くらいは美味しくて見た目も可愛いケーキを食べてほしい」との思いから、グルテンフリーのスイーツを作ろうと考え、米粉シュークリーム店をオープンさせることになりました。
そのため、「米粉シュークリームはづき」では、米粉のシュー生地をデコレーションした「バースデーケーキ」も予約販売しています。
米粉シュークリームを完成させるにあたって、水分量や粉の配合に苦労したそう。食べた人に「米粉だから仕方ない」ではなく、「米粉のスイーツのほうが美味しいから食べたい」と思ってもらえるようなスイーツを届けたいと思い商品開発し、現在の米粉シュークリームが完成したと言います。
美味しい米粉シュークリームが完成しても探究心や好奇心は尽きず、常に新しい発想で旬なフレーバーを企画し、販売しています。
また、最近始まった企画として、田園調布学園の中学3年生のみなさんと一緒に田園調布土産を開発中だそう。米粉スイーツのお店で思いがけず地域活性化のお話を聞けて、スイーツと人や地域との繋がりに可能性を感じました。
米粉を使ったシュー生地の中にミチミチっとたっぷり入ったクリームは少しかためで、購入後3時間ほど経っても、高さのあるシュークリームの姿は維持されていました。テイクアウト専門のスイーツ店でも、自宅で美しい見た目のまま食べられるのが嬉しいです。
「苺SOYクリーム」(370円)は、苺の香りが強い豆乳クリームとさっぱりした風味の米粉のシュー生地の相性がよく、美味しい!「ハニーチーズ」(370円)は、コクと酸味のバランスが絶妙で、お酒にも合いそうです。
「ブリュレシュー」(390円)は、セットになっているキャラメルソースをかけていただきました。中のカスタードのとろりとした食感と、甘党も満足のしっかりした甘み、表面の香ばしさ、ケーキのように満足感を得られる米粉シュークリームです。
「ハニーチーズ」「クレームブリュレ」などで使っているシュー生地は、表面にアーモンドクリームを乗せて焼いているそうで、クリームの個性に負けない存在感がありました。
「米粉シュークリームはづき」の姉妹店として、目黒区に「スイーツさつき」があります。
グルテンフリーのスイーツはたまに見かけることもありますが、探しているときに限って見つけられないこともあるので知っておくと便利かもと思いました。グルテンフリーなのにしっかり美味しくて見た目も可愛くて、友達に教えたくなるようなスイーツです!
所在地:東京都大田区田園調布2-35-14
アクセス:東急東横線・東急目黒線「田園調布」駅から徒歩約10分
TEL:03-6459-7815
営業時間:12:00~18:00 毎週土日のみ営業(詳細は公式SNSにて要確認)
公式サイト:https://hazuki-cream.com/
続いて、田園調布駅の方向に少し戻った場所にあるチョコレート専門店「Cacao Zoku(カカオゾク)」に入ってみました。ファッションのブティックのような洒落た外観にドキドキ。
店内に入ると、ベネズエラにルーツがあるホルヘさんがフレンドリーな姿勢で迎えてくれました。
ホルヘさんは、以前は日本でIT関係の仕事に就いていましたが、カカオの面白さに魅せられ、3年半ほど前にこのお店をオープンしました。「Cacao Zoku」で取り扱うチョコレートはすべてベネズエラ産のカカオ豆を使って、ショップに併設された工房で作られています。
店内には、ベネズエラのアーティストが描いたという絵画が飾ってありました。エネルギッシュな作品と店内に漂うチョコレートの香り、ホルヘさんの楽しいお話に気持ちが引き込まれます!
棚にずらりと並ぶのは、ベネズエラのさまざまな産地別のカカオを使った「チョコレートバー」です。一口大のチョコレートを味見として何種類かいただきながら、好みのものを選べます。
ボンボンショコラは、繊細なデザインがすてきです。パッションフルーツのボンボンショコラを特別に一粒いただいたところ、パッションフルーツのソースと口溶けのいいチョコレートの組み合わせが贅沢過ぎて、うっとりしてしまいました。
春先から夏の終わり頃まで提供しているという「チョコレートソフトクリーム」(648円) は、カカオニブがたっぷりトッピングされた、見たことがないほどオシャレなスイーツ!! プラス100円でラム酒をトッピングすると、さらに大人な味に。
ミルキーなチョコソフトとガリガリのカカオニブ、ツーンとくるラム酒のアルコール成分を同時にいただくのは初体験でしたが、大満足な美味しさでした!
20種類近くあるチョコレート・バーの中から、「チョロニ」という産地のカカオ豆を使った「CHORONI」(チョロニ 1,800円)と、「ピスタチオ」がトッピングされた「PISTACHIO」(ピスタチオ 2,200円)、糖質0%の「Zero Patanemo」(ゼロ パタネモ 2,100円)を買ってみました。
「CHORONI」は口に入れた瞬間はカカオの苦い香りが感じられ、口の中で溶けていくうちに甘みや華やかなフレーバーが感じられます。
「PISTACHIO」は、写真にあったザクザクとしたかっこいい見た目に一目惚れ。2種類の大きさのピスタチオとチョコレートが溶け合うと、チョコレート・バーではなく何かスイーツをいただいているような複雑な味わいに。
糖質0%の「Zero Patanemo」は甘さ控えめながらも十分に美味しくて、ヘルシー志向の人におすすめです。
表現力の高さに驚きつつ、気づくと次に試したいフレーバーに思いを馳せていました。
所在地:東京都大田区田園調布 2-48-15
アクセス:東急東横線・東急目黒線「田園調布」駅から徒歩約2分
TEL:03-6715-6336
営業時間:12:00~18:30(火・水定休)
公式サイト:https://www.cacaozoku.com/
「Cacao Zoku」を出て、駅とは逆方向に進んでいったところにある紅茶専門店「ティージュ」で、スイーツに合う紅茶を選ぶことに。ガラス張りの洗練された外観はまるでギャラリーのよう。
コンパクトな店内なので、先にお買い物されていた2人組のお客さんが買い物を終えるのを待って、お店の中に入ってみました。
優しく迎えてくださったのは、「ティージュ」の森さんです。普段は店舗で接客販売はしていませんが、この日は特別にお話を聞かせてくださいました。
現在の業界のことはもちろん、過去の業界のことや紅茶の味、淹れ方についてなど何を聞いても詳しく教えてくださり、その知識量と熱量に驚きます…!
店内には、紅茶の他にもポットやカップなどのティーグッズが並んでいました。ギフトカードも販売されているので、贈り物を選ぶのに便利。
同じ紅茶でも、カップ用とティーポット用の大きさが違うティーバッグがそれぞれ用意されていたり、茶葉のままで販売されていたりと、使う人がライフスタイルに合わせて選びやすいラインナップにしている気遣いがすてきです。
ダージリンの春の新茶を意味する「ファーストフラッシュ」の茶葉を見せていただきました。緑茶のような少し青々とした香りと、紅茶の芳ばしい香りを同時に感じられます。私がイメージする紅茶の茶葉は茶色ですが、ファーストフラッシュはグリーンの色をしているのが新鮮!
森さんのお話を聞けば聞くほど、どの紅茶も魅力的に感じられて気になりました。
私のようにスイーツに合う紅茶がほしいときやギフト選びに迷ったら、スタッフに質問してもらってOKとのことです。知ったかぶりせずにわからないことを聞いてみると、いろいろ教えていただけて知識が深まり、より紅茶の世界を楽しめるはずです。
私が選んだのは、「アールグレイ」(864円)、「キャラメルカスタード」(540円)の茶葉と「アールグレイ」のリキッドティー(648円)です。
「キャラメルカスタード」をストレートでいただくと、香りは甘いケーキのようで、飲んでみると紅茶の苦味をほんのり感じられます。ミルクティーにすると、お店で飲むシロップが入ったドリンクのような複雑な美味しさに変身しておもしろいです。
「アールグレイ」は、茶葉とリキッドティーどちらもとても美味しかったですが、とくに気に入ったのはリキッドティーです。なぜかというと、これまで飲んだどの紅茶よりも香り高くて華やかな香りのアイスティーだったから!
農家選びから紅茶の淹れ方までこだわりつくした「ティージュ」の商品だからこそ叶う味なのではないかと思います。
ホットティーはチョコレートに、アイスティーはシュークリームと合わせるのにぴったりでした!
所在地:東京都大田区田園調布2-21-17
アクセス:東急東横線・東急目黒線「田園調布」駅から徒歩約8分
TEL:03-3721-8803
営業時間:10:00~16:00(土・日定休)
公式サイト:https://www.teej.co.jp/
大田区田園調布にはオシャレなイメージを持つ人が多いかもしれません。実際に訪れてみると、オシャレなスイーツ店がたくさん並んでいて、歩いているだけで気になるお店リストがいっぱいになっていました! スイーツは季節限定のものもありますし、誕生日や記念日にこそ食べたいものもあるので、そんな機会にまた利用したいと思います。
お店のこだわりを知るとさらに美味しく感じられるのがスイーツや紅茶のいいところ。今回紹介したお店の方はみなさんフレンドリーなので、訪れることがあればぜひお話をして一緒にお気に入りを見つけてみてください。
本記事のライター:岩井なな
プロフィール:
大学時代にオーストラリア、アメリカ、フランス、タイへの一人旅を経験。新しいもの、歴史を感じるものに関わらず、美しい建築に目がない。そのため、休日にはオシャレホテル宿泊、美術館や図書館巡りをして過ごしている。
現在は、東京都と富山県の2拠点生活を送る取材・インタビューライターとして、旅メディア・地域情報メディアを中心に活動。可愛いキャラクターが大好きで、大田区公式PRキャラクター「はねぴょん」がお気に入り。
監修:松本里美/三好順