カフェでゆっくりコーヒーや紅茶をいただくのもいいですが、カフェの個性が見えるランチをいただくのも、思い出に残る時間になっていいものです。
今回、大田区の中でもカフェがたくさんありそうな池上で、個性豊かなカフェランチを提供するお店がないか探してみました。見つけたのは、古民家カフェと微生物カフェ。一体どんな風に「ちょっと変わって」いたのかレポートしていきます!
東急池上線「池上」駅周辺には飲食店がいくつもあったり、駅直結の図書館があったりと、とても住みやすそう。大田区をよく知る知人に話を聞くと「個人的には、住みたい場所No. 1」とのこと。一体どんな素敵なお店に出会えるのか、どんな雰囲気の街なのかワクワクしながら池上駅北口を出ました。
駅から5分ほど歩くと、入り組んだ道沿いにお菓子屋さんやコーヒー屋さんを発見。どのお店もオシャレな感じで、1軒目のお店への期待が膨らみます!
まず訪れたのは「古民家カフェ 蓮月(れんげつ)」です。実は前にInstagramで見たことがあり「こんなレトロな雰囲気のカフェでランチしてみたい!」と憧れていました。
カフェであることを知らないと、誰かの豪邸かと思って通り過ぎてしまいそうなほど立派な古民家。道を挟んで向かい側からまじまじと眺めたくなるような、趣ある佇まいに圧倒されます。
店内に足を踏み入れると、昭和レトロに遊び心を加えたようなオシャレな空間が……!
奥のお庭まで続く開放感のあるスペースと、小洒落たインテリア雑貨の数々による独特の空間センスに、どこか別世界に迷い込んだのではないかと感じるほど。
店長の輪島さんは、古着屋でお仕事されていたご経歴の持ち主。このオシャレな空間づくりに輪島さんのファッション業界で培ったセンスが活きているのではないかと思いました。
お店の奥には、古民家の重厚感のある雰囲気とは打って変わって、抜け感のあるカジュアルな雰囲気のテラス席があります。季節によってさまざまな植物の花が咲くそう。
古民家の中でカフェやランチするのもいいですが、テラス席から古民家を眺めながら食事をするのも素敵そうだと想像が膨らみました。
2階スペースは、靴を脱いで好きな場所に座布団を敷いて利用します。「時間を気にせずごろごろしてもらってOK」「うとうとして寝てしまってもいい」とのこと。
1階を抜けていく風、2階へと続く急な階段のきしむ音。五感を研ぎ澄まして古民家という場所を楽しんでいるうちに、気づくとスマホを触るのを忘れていました。SNS大好きな私も、デジタルデトックスしてしまうような興味をそそられる空間です。
この場所は、「古民家カフェ 蓮月」としてオープンする以前は、「蓮月庵」という蕎麦屋さんだったそうです。
蕎麦屋さんが引退した後そのままになっていた古民家を残そうとする動きがあるなか、たまたま輪島さんの古着屋さんのお客さんにその活動に参加していた人がいたそう。そこで輪島さんに白羽の矢が立ち、以前から抱えていた「行き場のない子供たちに少しでも救いの手を差し伸べたい」との思いも重なったことから、そのような子供たちや地域の人々を広く迎える場所として古民家カフェをオープンする運びとなったそうです。
蕎麦屋さんであった名残は、随所に感じられます。
お会計をする「お帳場(おちょうば)」は、当時からほとんど形を変えずに残っています。店内への入り口から入って右手のすりガラスには、「蓮月庵」の文字が。
歴史の長さと深さを感じ、蕎麦屋さんとして営業していた当時をイメージしてみたりするのも楽しかったです。
「古民家カフェ 蓮月」には学生さんからお子様連れの主婦さん、古民家と同じくらいの年齢の方などさまざまな人が訪れているそう。映画のロケ地になったことから、聖地巡礼としても訪れる人がいるとのことでした。
いろいろと理由をつけて訪れたくなるような魅力は、この日の小一時間の滞在でも十分に感じられました。
店長おすすめの窓際席には、格子窓の隙間から自然光がたっぷり差し込みます。せっかくなので、ここに座ってランチをさせていただくことに。
メニュー表でつい目が止まって注文した「クリームソーダ 青りんご」(¥1,090)は、やっぱり可愛い!窓から入ってきた光が反射してキラキラと光っていました。
「クロックムッシュプレート」(¥1,390)「フレンチトースト」(¥1,490)も注文。
古民家でどうしてクロックムッシュやフレンチトーストなど「洋」テイストのメニューを提供しているのか聞いてみたところ、古民家カフェを運営していく中で、コーヒーやカフェメニューを作る技術のある人と出会い、学ぶことになったのがきっかけだったそう。
カフェメニューや「古民家カフェ 蓮月」の在り方は、「今も変化し続けている」と言い切る輪島さんの姿がとてもかっこよかったです。
サラダが添えられているのが嬉しい「クロックムッシュ」は、ランチだけではなくブランチにもおすすめ。
古民家でフォークとナイフを使うのはちょっと珍しいですが、ほどよい塩気とボリューム感のある「クロックムッシュ」の美味しさに、そんな珍しさにもすぐに慣れて頬張ってしまいました。
フライパンで焼いた後にさらにオーブンに入れて作るというこだわりの「フレンチトースト」は、ソースをチョコレート・いちご・はちみつの3種類から選ぶことができ、友人と一緒なら食べ比べも楽しそう。
中ふわ外カリの「フレンチトースト」はあっさりクリームといちごソースと相性抜群で美味でした!
昭和レトロや和モダンなど、実は私たちに馴染みがあったりする、歴史と現代がクロスするテイスト。今回、「古民家カフェ 蓮月」を訪れることで、一見ミスマッチに感じられる古民家とカフェメニューは、実はとてもマッチしているのかもしれないという気がしてきました。
所在地:東京都大田区池上2-20-11
アクセス:東急池上線「池上」駅から徒歩約8分
TEL:03-6410-5469
https://rengetsu.net
続いて向かったのは「微生物CAFÉ HITONAMI」です。
「微生物」という誰もが知っている言葉。だけれど、微生物カフェは聞いたことがないですよね? お店の入り口付近に張り紙を見つけ、その先のちょっと奥まった場所にある入り口の扉をドキドキしながら開けてみました。
そこには、とってもカラフルで賑やかな空間が広がっていました! 店内の中心のハンモックには、自分の中に隠れていた子供心がくすぐられます。
ハンモックやクッションのファブリック、本棚にぎっしり並んだ本、棚の上のミシン糸、本当にいろんな物、いろんな色が目に飛び込んでくるパワーを感じる雰囲気に引き込まれました!
エメラルドグリーンの壁紙は「海の中にいるような気分になれるように」と、店長の高際(たかぎわ)さんがオーダーしたそうです。
「微生物CAFÉ HITONAMI」は、ワークショップや講師を招いての講座なども開催するコミュニティスペースでもあるそうです。多くの人が集まる場所として訪れる人々のニーズに応えたころ、座敷にテーブルとチェアを設置した席やカウンター席の他、土間にも席が設けられています。
高際さんの、訪れる人々のニーズに柔軟に応えつつ、「発酵」という自分が発信したいこともしっかりとある姿がとても素敵です。
微生物カフェという名前の由来が気になりますが、発酵食品をふんだんに使用した腸活メニューがいただけるカフェだからだそう。そう聞くと、「微生物」という響きがグッと身近に感じられました。
高際さんによると、たまに「微生物がいるんですか!?」とびっくりした様子でお店の扉を開ける方がいらっしゃるそう。そんなときは「あなたの身体の中にいますよ!」と返すそうです。高際さんのお人柄を感じる、本質をつく返答がおもしろくてつい笑ってしまいました。
お店の入り口には区内外の「発酵」に関する食品などが並べられています。カフェとしての利用だけではなく、これらの食品を買うためだけに訪れるお客さんもいるのだとか。
ちょっと珍しい「古代米」なども並んでいて、この一角を端から端まで見るだけでかなり勉強になるなと、発酵食品に興味のある私にはとても嬉しかったです!!
「発酵バランス定食A」(¥1,300)は、メイン1種・お惣菜・お米・お味噌汁・漬物のセット。「発酵バランス定食B」(¥1,450)は、メインを2種類選べるセットです。
メインは3種類から選べ、内容は週替わり。
せっかくだからと、「発酵バランス定食B」をいただきました。こだわりの「スペシャルティコーヒー」(¥630)も一緒に♪
迷った末、今回は「タラのみそホイル焼き」と「とりむねのハニーマスタード焼き」に決定! どちらも麹(こうじ)の甘みを感じる優しいお味。柔らかく食べやすいので、お子様からお年寄りまで幅広い人が美味しくいただけるのではないかと思いました。
古代米がブレンドされたご飯は、メインのおかずやお漬物と相性抜群。いつも食べている白米と同じように箸が進んで、美味しくいただけました。
店名が衝撃的な「微生物CAFÉ HITONAMI」は、発酵食品について学べる&腸活メニューを食べられるお店でした。ちょっとかわったランチをいただきたいけれど、健康にも気を遣いたいときにぴったりです!
所在地:東京都大田区池上3-12-10
アクセス:東急池上線「池上」駅から徒歩約5分
TEL:03-4363-8188
https://hitonami.info
大田区池上エリアにある、店内の雰囲気といただけるメニューのコントラストが強めの「古民家カフェ 蓮月」と、普段はあまりいただけない腸活メニューを提供する「微生物CAFÉ HITONAMI」のカフェランチをご紹介しました。
どちらもちょっと変わっているからこそ得られる満足度の高いカフェ。友達にも「こんなおもしろいカフェがあるんだけど、知ってる?」と自慢したくなります。
普段とは異なるランチで刺激がほしい際はぜひ行ってみてくださいね。
今回訪れた池上ですが、「馬池洗(まいせん)」と呼ばれるエリアに含まれています。馬池洗は東京都大田区中央部にある馬込・池上・洗足池の呼称のこと。馬込や洗足池にも素敵なカフェがあるので、馬池洗巡りとして楽しんでみるのもおすすめです。馬込のカフェを巡った「馬込の素敵カフェ巡り!老舗の楡本店からテニスクラブ併設カフェまで」という記事もあるので、参考にしてみてくださいね。
本記事のライター:岩井なな
プロフィール:
大学時代にオーストラリア、アメリカ、フランス、タイへの一人旅を経験。新しいもの、歴史を感じるものに関わらず、美しい建築に目がない。そのため、休日にはオシャレホテル宿泊、美術館や図書館巡りをして過ごしている。
現在は、東京都と富山県の2拠点生活を送る取材・インタビューライターとして、旅メディア・地域情報メディアを中心に活動。可愛いキャラクターが大好きで、大田区公式PRキャラクター「はねぴょん」がお気に入り。
監修:松本里美/三好順