海外旅行に行きたいけれど、高いし時間は取れないしでなかなか大変。それなら海外グルメを楽しんでみてはいかがでしょうか? 蒲田には、世界各国の料理が楽しめるお店があるんです!
そんな蒲田の海外グルメをご紹介するべく、これまで東京だけで100ヶ国以上の海外グルメを開拓してきた私「おぐグルメ」が、実際にお店に行って食べてきました。
日本食であれば、名前を聞けば料理が思い浮かび、味も何となく想像できますよね。しかし海外グルメには、名前を聞いただけでは想像できない料理が山ほどあります。仮に名前を聞いて何となくイメージがついても、実際に目の前に料理が出されると、想像してたのと違う!と驚かされることも。
この記事では、そんな世界の料理が楽しめる蒲田のお店を3つご紹介します!
まずはギリシャ料理のお店から。雑居ビルの3Fにあって、うっかりすると見逃してしまいそう。まさかこんなところに本格的なギリシャ料理店があったとは……。
階段を上ってドアを開けると、青と白に彩られた店内に目を奪われました。エーゲ海に浮かぶ絶景の島「サントリーニ島」を訪れたあの時にタイムスリップしたかのようです。それに色合いだけではありません。アーチ状になった壁もサントリーニ島の建物を彷彿とさせます。「ここまで現地を再現しているなんて……!」と驚くばかりです。
蒲田にいながら、ギリシャに旅行している気分!
サントリーニ島はヨーロッパの中でも、青と白のコントラストが非常に鮮やかな素敵な場所です。そんなサントリーニ島をイメージした店内に入れば、汗をかきながら3Fまで階段を上がった疲れも、一瞬で吹き飛んでしまいました。
お店の名前「スピローズ」は初代オーナーさんの名前です。2004年に表参道で開業し、2005年に六本木へ移転。そして六本木から移転するに伴い、現オーナーであるサットン(Satton)さんの地元・蒲田にお店を開業されたそうです。
ギリシャ料理は日本人に馴染みの薄い料理かもしれません。しかし、サットンさんによると「世界には日本人がイタリアンやフレンチを見る頻度で、ギリシャ料理に遭遇する」とのこと。世界では非常にポピュラーな料理なのです。実際、私がヨーロッパを旅したときもギリシャ料理レストランをあちこちで見かけました。
そんなギリシャ料理の特徴は、シンプルな味付け。オリーブオイルやハーブなどを使い、素材そのものの味を引き立てています。ヨーグルトやチーズがよく使われるのも特徴です。
今回は「スピローズ」で人気のギリシャ料理3つを食べてきました!
● ハルミチーズのサガナキ(750円)
● ポークギロ(ジャイロ)(1,000円)
●ムサカ(1,600円)
ハルミチーズのサガナキ
1品目はチーズを鉄板で焼いた料理「サガナキ」です。
サットンさんが「サガナキ、すごく美味しいから食べてみて!」とオススメしてくれました。そこまで言われると期待せずにはいられません。
焼くのは「ハルミチーズ」。これ、ただのチーズではありません!
ハルミチーズは、ギリシャとトルコが混在する、神秘の島「キプロス」の羊のミルクから作られたチーズで、弾力がありキュッとした食感が特徴的。ミルキーさと塩気が時間とともに口いっぱいに広がってきて、まさにチーズを食べてる!という感じを覚えます。この味・食感が癖になり、追加でオーダーしたいほど。
モッツァレラチーズなど濃厚な口当たりのチーズとは全く違い、初めて食べたときは「こんなチーズがあったのか!」と衝撃を受けました。
チーズは熱に弱いため基本的に冷たいまま提供されます。しかし、ハルミチーズは焼いても溶けないため、サガナキのような珍しい調理法が可能なんです。
1品目から本場ギリシャの味が堪能でき、続く2品目、3品目への期待も高まります。
ポークギロ(ジャイロ)
2品目はギリシャのソウルフード「ギロ」です。
写真を見ると、ケバブに似てると思いませんか!? 現地のファーストフード店では棒に巻かれた肉を削ぎ落としているので、最初見たとき、ケバブかな?と私も思ってしまいました。
ギリシャで街を歩いていると、至るところにギロを売るお店があります。まさにギリシャの国民食と呼ぶにふさわしい料理です。
ギリシャでは定番な「ギロ」。しかし、世界の料理が集まる東京でさえ「ギロ」を出すお店には滅多に出会えません。だからこそ、「スピローズ」で発見したとき、「現地の味を蒲田で食べられる!」と嬉しい気持ちになりました。
それでは実食!
肉肉しく、ハーブの香り豊かなポークと野菜をピタパンに挟んでいただきます。
ピタパンのふわっモチっとした食感を楽しんだ直後に、肉や野菜と三位一体になった味が口いっぱいに広がります。エキゾチックな風味で、見た目よりさっぱりとした印象です。玉ねぎの酸味もいいアクセントを加えています。
ムサカ
3品目は「スピローズ」の1番人気メニューという「ムサカ」
見てください!このビジュアル。運ばれてきた瞬間から食欲をそそられ、非常に罪な見た目をしています。
なす、ジャガイモなどにミートソースやベシャメルソース(ホワイトソース)を重ねて焼き上げた料理で、イタリア料理「ラザニア」の原型になったとも言われているんですよ。
スプーンですくってみると、そのとろみが伝わってきました。
実際、トロトロとした食感とリッチな味わいがたまらなく、病みつきになりそうです。
現地の「ムサカ」はとても濃厚で、結構ずっしりお腹に溜まる味付けでした。
一方、「スピローズ」の「ムサカ」は柔らかく滑らかな口どけ。シナモンが入っており、ほのかな甘みも感じます。そのため、1口、2口と食が進み、いつの間にか完食してしまいました。
濃厚な味が苦手な方でも、親しみやすいムサカです。お店No.1の人気メニュー・ムサカ、食べずには帰れません。
スピローズにはギリシャのワインなど、アルコールもたくさん用意されています。
次回は他のお料理とのペアリングも試してみたい!
所在地:東京都大田区蒲田5-7-6 CCMビル3F
アクセス:JR京浜東北線「蒲田」駅の東口から 徒歩5分
TEL:03-6715-7629
http://www.spyros.tokyo/
次はスペイン料理のお店を訪れました。
スペイン国旗がなかったら、花屋さんと勘違いしてしまうような外観です。
店内に入ると、美しい花々が出迎えてくれました。
不思議なのが、外は猛暑でクーラーも強く効いているわけではないのに、店内の空気が涼しく、ひんやりとしていました。店内を囲む花々が肌感だけでなく、見た目でも涼しさを感じさせてくれます。
スペイン料理レストランと聞くと、ついバルの賑やかな雰囲気を想像してしまいます。都内にはそんな本場のバルを思い起こさせるお店がいくつもあります。
でもこのお店は、非常に落ち着いた雰囲気が漂っていました。
「Flowers & Spanish Sonrisa」のような、静けさと落ち着きを表現したお店には滅多に出会えません。店内を彩る花の香りと調理の音を感じながら、料理が提供されるのを待つ、非常に素敵な体験ができました。
スペイン産の自然派ワインも数多く取り揃えています。
平日でも満席になるらしいので、予約して来店するのがオススメです。
スペイン料理は非常にバラエティ豊かです。その種類の豊富さに驚かされます。
実際に現地を訪れると、見たことも聞いたこともない料理、地域ごとの伝統料理や特産品が数多くありました。
地中海の影響を強く受けているのもスペイン料理の特徴です。オリーブオイルや新鮮な野菜、果物、シーフードなどの食材が料理によく使われています。
さらに、タパスはスペインを象徴する料理といえるでしょう。温かいものから冷たいものまで、食材もさまざまです。並んだタパスを見ているだけで食欲が湧いてきます。
今回は新作メニューを含め、下記3つのスペイン料理を食べてきました!
● 赤いサラダ(1,580円)
● ガリシア風タコの鉄板焼 麦芽と鳩麦のデュカ(3,200円)
● アロスアバンダ(3,300円)
赤いサラダ
新作メニュー「赤いサラダ」。その色鮮やかな見た目には驚きました。盛り付けも非常に洗練されています。
使用している器は旧日本軍の骨董で、少し角が欠けているのが特徴です。
食材はアメリカンチェリーやプラム(すもも)、チェリートマトを使い、下にはビーツのサルモレホソースが敷かれています。
チェリーやトマトの上品な甘みがじわじわと伝わってきます。ひんやりと滑らかなソースも印象的でした。添えられているチーズをソースと絡めて食べると、コクが増し一層深みのある味を楽しめます。
1品目から完成度の高い料理に、さすがミシュラン・ビブグルマンを獲得する実力店だと感じました。
この料理は新作メニューですが、オーナーの上田さんによると、毎日メニューを変えているそうです。いつ行っても新たな味に出会えるのは嬉しいですね!
ガリシア風タコの鉄板焼 麦芽と鳩麦のデュカ
「ガリシア風タコの鉄板焼 麦芽と鳩麦のデュカ」も運ばれてきた瞬間、芸術作品かと思わせるような見た目です。
タコの弾力と柔らかさがとても印象的でした。この食感を可能にしているのが、上田さんの並々ならぬタコへのこだわりです。タコは生産地が大事とのことで、北海道産のタコを特定の漁師さんから仕入れているそうです。仕入れだけでなく、仕込みにもこだわり、安定したタコの柔らかさを実現しているのですね。
また、麦芽や鳩麦、生薬など漢方を合わせているのも特徴的です。他にもデュカ(エジプト料理に頻繁に用いられる調味料)やコリアンダー、胡麻を使って仕上げているそうです。
タコの下にはマッシュポテトが置かれており、羽毛布団のようにタコを包み込んでくれる、ふんわり食感が魅力的です。
アロスアバンダ
「アロスアバンダ」とは、真鯛とワタリガニの出汁の濃縮パエリアです。お店の看板メニューとなっています。
一口食べると、ご飯に凝縮された旨みが口の中で弾けて広がっていきます。これだけ旨みの詰まったパエリアは中々お目にかかれません。
「アロスアバンダ」は大きな具材も乗っておらず、シンプルなパエリアです。
写真だけ見るとインパクトも薄いかもしれませんが、食べてみると見た目とのギャップに驚きました。むしろ、シンプルだからこそ、ごまかしが効かず、こだわり・実力を感じられる逸品です。
この濃縮された旨みを引き出しているのは、天然の真鯛から取った出汁。真鯛から内臓だけ取り除き、それ以外すべて使って出汁を取っているとのこと。
その理由は、身から上質な出汁が出るからだそうです。上田さんからこのお話を伺うまで、出汁は骨から取るというイメージでしたが、いい意味でこれまでの常識を覆されました。
また、出汁にスルメイカの肝を入れ、アクセントを加えています。ここまで手間暇を惜しまず作ったパエリアだからこそ、この味を実現できているのだなと納得してしまいました。
最初は何も付けずパエリアそのものを楽しんでみます。そのあとアリオリソース(ニンニク入りマヨネーズ)を付けてみると、深みのあるソースがパエリアの旨みを引き立ててくれます。このソースも中毒性のある美味しさで、どんな料理にも相性がいいと思いました。
ぜひソース単品でも商品化してほしい!
所在地:東京都大田区蒲田3-17-12 束田ビル 1F
アクセス:京急線「京急蒲田」駅から徒歩4分
TEL:03-6715-7097
https://www.instagram.com/flowers.and.spanish.sonrisa/
最後に、ドイツ料理のお店を紹介します。
京急線「京急蒲田」駅の出口を抜けると、大きな看板「Beer Restaurant G.G.C」が目に飛び込んできます。
お店の入口には、なんとも珍しいソーセージの自販機。ドイツの雰囲気がお店に入る前から伝わってきました!
店に入って目線を右に移すと、圧巻のビールサーバー! 数えきれないほどのタップがあります。こんな量のタップ、日本ではなかなかお目にかかれません。
ビールサーバーと同時に目に映るのは、天井に掛かった「ビアグラス」や「ビールジョッキ」の数々。
ドイツに行ったとき、さまざまな形状のグラスやジョッキがあるのに驚きました。その光景を彷彿とさせる姿です。ドイツといえば、ビール。期待も高まりますね。
木製のテーブルや椅子も、ドイツでビールを飲んだお店の雰囲気にとても似ていました。暖かみがあって、長方形の仕切りがないテーブル。見知らぬ人でも同じテーブルに座り、ビールを飲めば、交流が自然と生まれます。
店内に置かれた装飾品に至るまでそこかしこから現地の雰囲気を感じられ、もはやここはドイツなのでは?と、旅したあの日を懐かしく思いました。
ドイツ料理と言われて、まず頭に思い浮かぶのは「ソーセージ」ではないでしょうか。私もドイツに行ったとき、その種類の豊富さに驚きました。なんと、1,500種類以上もあるそうです。
ソーセージをはじめ、「グレート・ジャーマン・クック」のイチ押しメニューでもある「アイスバイン」など、お肉がドイツのメイン料理となっています。
ビールの苦味に負けないようしっかりとした味付けで、むしろ、スープなど塩っぱいと感じることもあるかもしれません。ただ、この味付けがビールとよく合うんですよね。
また、ドイツ料理の調理法として、ソーセージのように燻製・加工した料理、ザワークラウトのような酢漬けがよく使われます。厳しい寒さが長く続くドイツでは食物が育ちにくい環境なので、保存できる調理法が好まれているんです。
「グレート・ジャーマン・クック」では、次の3つの料理とビールをいただきました。
● ニシンの酢漬け(682円)
● ソーセージ盛り合わせ(古代のソーセージ:2,400円、ドイツ屋台のソーセージ:1,420円)
● アイスバイン(中<450~550g> :3,740円)
● ビール(ピルス&ヴァイス)(小:550円~、中:750円~、大:1200~、特大:2300円~、1.8L:4000円~)
ニシンの酢漬け
肉がメインのドイツでよく見かける魚が「ニシン(ヘーリング)」。ニシンの渋みと酸味が、ビールの苦味と絶妙にマッチします。
さっぱりしていて、冷たい前菜としてビールと一緒に楽しみながら、メイン料理ができ上がるのを待ちました。
「グレート・ジャーマン・クック」では、60種類以上のビールを提供しています。中でもすっきりした味わいで、非常に飲みやすくてオススメだったのが、かまたビールの「ピルス(写真:右)」と「ヴァイス(写真:左)」です。
実は私、ビールが少々苦手なんです。しかし、「グレート・ジャーマン・クック」で提供されたビールは、すーっと喉を通っていき、爽快な風味!
ドイツ以外にも世界各国のビールがたくさん取り揃えられているので、飲み比べするのも楽しいかも!
桃やさくらんぼの香りのするフルーティーなビールは、さながらスパークリングワインのような、大人の炭酸飲料のような軽い飲み口で、ついつい飲みすぎちゃいそう。
ここでしか味わえない、お気に入りの一杯を見つけてみてください!
ソーセージ盛り合わせ(古代&ドイツ屋台)
見てください!このソーセージ。
ジューっと音を立てて運ばれてきた瞬間、「うわぁ〜おいしそう!」と思わず声が出てしまいました。
まず、「古代のソーセージ(写真:左)」からいただきます。ナイフを入れると、ぎゅっと腕に伝わってくる感覚があります。皮の表面はパリッとしながらも、中は凝縮されたような感じで、非常に肉々しいです。これぞ、ドイツのソーセージ!と感じさせてくれる味と食感でした。
古代のソーセージは、「ポーク」「イノシシ」「シカ」「ラム」の4種類の盛り合わせになっています。
イノシシやシカは名前だけ聞くと敬遠されるかもしれません。しかし、まったく臭みがなく脂肪も少ないので、ヘルシーで食べやすかったですよ!
次は「ドイツ屋台の焼きソーセージ(写真:右)」です。「古代のソーセージ」とは異なり、とても柔らかい食感です。白い見た目もすてきな色合いですね。
このソーセージ最大の特徴はハーブの香り。ソーセージの中に練り込まれているので、食べ進めていくと、ハーブの香りが口いっぱいに広がっていきます!暑い夏に口の中を爽やかにしてくれる、そんな香りです!
「ドイツ屋台の焼きソーセージ」も4種類入っています。
● チュウリンガー
● ニュールンベルガー
● ペッパー
● ガーリック
ぜひ、「古代のソーセージ」と「ドイツ屋台の焼きソーセージ」食べ比べをしてみてくださいね!
アイスバイン
豪快な肉!お店のオススメでもあり、絶対に食べてほしいドイツ料理です。
「塊でガブっ!と食べるのがオススメです」とオーナーさんも仰っていた、ドイツでは有名なアイスバイン。一口食べれば、「肉を食べてる!」と感じることができます。
運ばれてきたときは、そのボリュームに驚くかもしれません。しかし、クセがなく食べやすいのでついつい箸が進み、あっという間になくなってしまいました!
1週間塩漬けするなど非常に手が込んだ料理なので、旨みも肉の隅々まで染み込んでいます。噛めば噛むほどその旨味を感じられ、何も付けなくても充分な美味しさでした。
本場ドイツの名物料理「アイスバイン」を味わってみてくださいね!
所在地:東京都大田区蒲田4-15-8 シュロスバッカス2F
アクセス:京急線「京急蒲田」駅から徒歩1分
TEL: 03-6424-5015
https://www.facebook.com/Great.German.Cook.kamata
今回、蒲田にあるギリシャ料理、スペイン料理、ドイツ料理のお店を紹介しました。いずれのお店もその国の雰囲気を存分に感じることができ、絶品の料理や飲み物を頂くことができました。 いずれのお店も最寄り駅から近くて行きやすいのもポイントですね。
まだ食べたことのない海外グルメで未知の体験がしてみたい方も、現地に行ったことがあって懐かしい気分を味わいたい方も、ぜひ一度行ってみてください。
本記事のライター:おぐグルメ
東京にある美味しい・珍しい海外グルメを食べ歩く海外グルメマニア。
ブログには103ヶ国の世界の料理を掲載し、休日だけで年間365以上の海外グルメを開拓する。
実際に現地に行き本場のグルメも食べており、これまで60ヶ国以上、ヨーロッパ全54ヵ国に渡航している。
監修:松本里美/三好順