「お疲れさま」ができる街
【工場で働かれている方インタビュー・シナノ産業(株)遠藤晃毅さん】

ーー働かれている工場では、主にどういった商品や加工を扱われているのかについてお聞かせください 。

プラスチックの切削加工によって、工場の中の生産ラインで使われる部品や医療機器の部品、車の部品などを生産しています。

プラスチックの加工というと通常ペットボトルのように、柔らかい樹脂を溶かして加工する様子を思い浮かべると思いますが、シナノ産業では硬い樹脂の塊からマシニングや旋盤といった切削機械で削り出すことで製品を作っています。医療関係部品でφ0.3(直径0.3mm)の細かい穴を開ける加工も手がけました。樹脂にも様々な種類があり、必要とされる強度などをお客さんと話し合って合う材料を選定しています。

ーーオープンファクトリーなど、工場(あるいは個人)で取り組まれている地域の活動について教えて下さい 。

オープンファクトリーのほかには小学生の工場見学を受け入れています。コロナ禍で最近は中止になっていますが、毎年多摩川小学校 3 年生の工場見学を行っていました。小学生たちは旋盤による切削の際に出てくるクルクルしたキリコとよばれる削りくずが面白いようで夢中になって見ていますね。

先代の社長が地域貢献に対して積極的で、OOF の話が来たときも真っ先に「おもしろいからやってみよう。」と手を挙げました。先代の社長は「地域ともっとつながりを持とう。工場は閉鎖された環境ではなく面白いところだ。」ということを伝えたかったんだと思います。

現社長も「いつもモノと向き合っている社員が今まで言葉にせずに感じていたことを、一般の方に向けて言葉にする機会を持つことで成長につながるのではないか。」と地域の活動に対して積極的な姿勢を取っています。

ーー日々の生活・お仕事の中で地域の方々との関わりはありますか?

僕自身 PTA 会長を務めていて、会長職になる前からおやじの会などにも入っていたので地域とのつながりはめちゃくちゃあります!OOF のポスターに僕が写っていると地域の人に「遠藤さん写ってるじゃん!」と言われることもしばしばあります(笑)。毎年5 月頃多摩川の土手で催しをするガーデンパーティーでは土手をそりや段ボールで滑る土手スキーを企画していて毎年子どもたちに喜んでもらっています。PTA の会長職は大変ですが子どもとの接点を少しでも持てることが嬉しいです。

ーー働いて通う中で感じる、街の好きなところについてお聞かせください。

工場が完全に住宅街の中にあるところが面白いと思います。住民と工場の人が同じ場所で生活してて、子どもがいたり、家族がいたり。新田丸に限らずこの地域ではいろいろな人たちが調和しているところが素敵ですよね。このあたりは小さい工場が密集していることも特徴の一つですが、むしろ小さい工場が多いからこそ街に溶け込めるのかなって思います。 あと、工場だけではなく公園が多かったり、神社もあったりするところもおもしろいと思います。そしてしょっちゅうテレビ撮影が来ますね。新田神社もありますし、武蔵新田駅前の虎っていうラーメン屋は有名ドラマにも出ていました!

ーーこの街の好きな場所・景色についてお聞かせください。

夜の商店街の居酒屋が好きですね。最近はあまりできていませんが、お酒が好きなのでしょっちゅう一人飲みします。コロナ前はよく行く居酒屋を持ってて、「昨日ここ行ったから今日はここ」っていうようにローテーションしてました。工場で働いているそばに居酒屋がすぐあるっていうのがいいですよね。お疲れ様ができるじゃないですか(笑)。蒲田に行かなくても新田丸の中に渋かったり、かっこよかったり、話が面白いおじいちゃんがいたりする新田丸の夜は最高ですね。

夜の武蔵新田商店街

ーー最後に、この街のお気に入りスポット(お店も含む)についてお聞かせください。

まずは牡蠣とワイン武蔵新田っていうバルですかね。僕自身イタメシが好きでパスタや生牡蠣が美味しいのでとても気に入っています。ガヤガヤしていますが落ち着くこともできて居心地がいいですね。その近くにある八快っていうラーメン屋はご夫婦で昔から続けられているお店でなかなかいい味出してるんですよね。結構お昼はよく行きます。

あとは和食だったらWasabi っていう商店街の奥側の居酒屋は刺身と日本酒が美味しいんですよ。最近できてコロナ禍でも頑張っている焼き鳥や串、肉の刺身を出してる山喜多っていう居酒屋も好きです。めちゃくちゃ美味いです。馬刺しだったり鶏の赤身の刺身とか、タタキとか。うーん、行きたいですねえ。

最近はコロナで飲食店がどんどん消えていくのはさみしいですよね。特に地元の新田丸の飲食店には頑張ってもらいたいなって。いつまでもいい雰囲気の居酒屋や地域の雰囲気が残ってほしいって思います。

仲間回しのみんなで飲むのがすごく楽しかったんですよ。情報交換だったりとか愚痴を言い合ったりとか。仲間回しって年齢層に幅があっていろいろな話が聞けるのが面白かったですね。仕事してるだけだと怖そう、話しづらそうと思っていても、一緒に飲みに行くと面白い一面を発見できたりするんですよね。お酒が入っても入ってなくても、そんな風に楽しめる場が新田丸にはあるなって思います。

お話を伺って、大人も子どもも、工場で働く人も住んでいる人も、色々な方が楽しい時間を過ごせる街だと感じました。私も武蔵新田で「お疲れさま」したいです!(聞き手:小泉勇真)

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