チーム仲間まわしの「素顔」インタビュー
【株式会社三陽機械製作所 青田さん】
ツアーを企画した「チーム仲間まわし」で金属切削加工で協力していただいている株式会社三陽機械製作所の青田光弘さん(以下、青田さん)にインタビューを行いました。
ーーでは改めて、日頃の業務内容を教えてください。
産業用エアコンプレッサーの部品製作を中心に、金属の精密切削加工を行なっています。
また弊社代表が「下町ボブスレープロジェクト」の委員長として大田区の技術力を世界に発信する取り組みをしています。
ーー技術力を世界に向けて発信されていて素晴らしいですね!それでは青田さんは実際どのような作業をされているのでしょうか。
NC旋盤という工作機械を使用して部品を加工しています。また、そのために必要な、お客様との打合せや見積り、治具の設計、加工プログラムの作成も担っています。そして、加工後の検査、提出用書類の作成を行ない、お客様に納品します。主要な取引先には、トラックに製品を積んで、納品に伺います。
ーー技術以外の全部!なんだかとても大変そうですね…。
もちろん大変ではありますが、伝えたいことを言語化したり可視化したりアウトプットする作業が得意というか好きというか、比較的他人よりも没頭できて、しかもそんなに苦じゃないということがわかりました!なのでプレゼンテーションや資料作成、動画製作なんかしてる時は結構楽しいです。
ーーまさに多能工といった感じですね!もともとものづくりがお好きだったんでしょうか。
ものづくりについては、、、もともと手先が不器用でしたので、好きでも得意でもありませんでした。私は自転車が好きでしたので、はじめは自転車販売店で働き、その後、自転車便のメッセンジャーとして働いたりもしました。そのうち、店員として売った自転車にも、配達員として乗った自転車にも、それを作った人がいて、小売業や運送業も、製造業なくして成り立たないことに気付き、「別に好きでも得意でもないけれど、必要ならやってみるか。」と思ったわけです。
ーー今回のツアーへ参加される方にどんなことを知ってもらいたいでしょうか。
ものづくり、特に部品加工の進め方として、大雑把に言うと、「型を作る」段階と、「型を使って作る」段階の、ふたつがあります。三陽機械製作所で使用するNC旋盤やマシニングセンターなどの数値制御の工作機械は、材料をじかに削り出して形を作っていくため、「金型不要」といわれることがありますが、その代わりに「加工プログラム」という型を作り、その指令に従って工作機械が加工を行ないます。加工プログラムという、ソフトウェアで出来た「型」の存在を知ってもらい、ものづくりの一連の作業に占める、ソフトウェア作りの重要さを感じてほしいと思います。
ーーオープンファクトリーを通じて、大田区やチーム仲間まわしに対する思いはありますでしょうか。
一般の方から見ると、ある加工業者と他の加工業者は「競合」と思われるかもしれませんが、私たちのような小さな町工場にとって、「他の加工業者」は日々の仕事に欠かせない存在です。なぜなら、ひとつの製品を形にするためには多くの工程が必要で、そのいくつかの工程を「他の加工業者」にお願いすることになるからです。そのような人たちと顔見知りになり、普段の仕事とは違う目標を共にすることは、純粋に楽しいことです。しかも、各製造分野の専門家の集まりですので、各々は自身の分野の専門家であると同時に、他の分野の素人でもあり、全員が、素人の発想と専門家の知識を併せ持っているとも言えます。私が専門的な意見を求められるのは、金属の切削加工について話している時だけですので、あとは気楽に、素人としていろいろと教えてもらっています。いつもありがとうございます。
ーー他工場の方同士で刺激を受け合えるというのは素敵な環境ですね!